2009年12月23日
南沢岳から不動岳・船窪岳~七倉へ
南沢岳から不動岳・船窪岳~七倉へ
北アルプス裏銀座,逆縦走
6月14日(日) 木偶野呂馬&G3氏
1;コース状況/その他周辺情報:

③南沢岳から不動岳に向かう鞍部の手前で大量の雪のため道は分からなくなり、稜線の縁を避けて左に寄るあまり下がり過ぎてしまった。このため南沢岳から不動岳まで2時間半を要して大きな遅れが生じた。不動岳から船窪岳まではアップダウンが激しく、また鞍部付近に悪場がある上にここでも大量の雪で難渋させられ、大幅に時間をロスして船窪小屋着が予定より4時間近く遅れた。
④本来なら1泊では無理な行程であり、船窪小屋に16時過ぎに着いたことをよしとしてここでもう1泊すべきであるしその用意もあったが、夜道に日暮れ無しと言うことで真っ暗闇の中、下山を強行した結果5時間を要した。

2;行動の記録
6月14日(日)
4時になるのを待って起きる。前夜食べなかったアルファ米1袋とレトルトのカレーがあったが、これを湯煎するのもまた用意したアルファ米のリゾットを湯戻しするのも時間がかかるので、お湯を沸かして残った握り飯と簡単スープを流し込む。融かした雪でお茶を作って飲料を確保し、6:00出発。
6:08,南沢岳の三角点を通過。前日,通過したピークは山頂ではなかったようで、標高2625mは今回の縦走最高地点。目の前には不動岳西面の大崩れが見えているが、その間には南沢乗越の深い切れ込みがあってここからは200mあまりの下りとなる。

不動岳西側の高瀬ダム側は、前日最後に渡った濁沢の源頭部に当たっており激しく崩落している。それは乗越を隔てたこちら側の南沢岳も同じで、登山道は稜線の縁である崩落した部分とハイマツ帯の境目を通っているので気が抜けない。
この辺りから残雪が多くなり、雪の急斜面の下降を余儀なくされる場面もしばしばで、その途中でスリップして5mほど滑りハイマツ帯に突っ込む。しばらくの後腕時計がなくなっているのに気づいたが引き返すにはすでに遅すぎた。
そう言う雪で寸断された難しい道であっても、雪が融けた所には春が来て草が芽吹き、花が咲く。
6:45,南沢乗越を通過して大きくガレた不動岳の前ピークの登りに入る。西面は急登だが雪がなく花が豊富で、ユキザサに混じってキヌガサソウやショウジョウバカマが見られるようになる。キヌガサソウの芽だしはユキザサをそのまま太くしたような感じで両者が非常によく似ていることを知る。

ふり返ると先ほど下ってきた南沢岳からの道がよく分かり、またはるか遠方には烏帽子岳の奇怪な山頂を望むことができた。
7:25,前ピークに到達。10分休んで展望を楽しむ。南沢岳からここまでは1時間25分。大幅ではないが予定をややオーバーしているのは雪が多いせいか・・。
7:35分。不動岳まで順調に行けば20分ほどの道であるが、ここから登山道が完全に雪に閉ざされて分からなくなった。右側の様子が分からないので稜線の縁を避けて左側の雪面を斜めに下り、樹林帯を突破しようとしているうちに稜線からかなり離れた位置まで下ってしまった。
道を見失い、遮二無二ブッシュをかき分けて抜けると広くて分厚い雪の斜面に突き当たる。幅40m,下に向かってどこまでも続く大斜面で長さは計り知れない。目印を探したが何もなく、その上悪いことにG氏が潅木に眼鏡を取られて探しに戻るというアクシデントが起きた。
ここは斜面を登って稜線に出る道を探すか、ハイマツ帯を突破するしかないと覚悟を決めて急斜面を登る。
雪の斜面を斜めに横断しながら登りきると道があった。上からハイマツを踏んで下ってくるなら兎も角、下からハイマツ帯を突破して登る等,口では言えてもできるものではない。この道がなかったら稜線に出るのは不可能に近く、樹林帯に迷い込んだ位置まで戻るしかなかったかもしれない。
8:35不動岳着。テン場から2時間35分と夏道の2倍の時間を要し大幅に遅れが出た。倒れた山頂標識を2人で立て直したり、写真を撮ったりしてやや長めの休憩をとる。烏帽子ははるか遠くなり、南沢岳にかけてガスが立ち始めていた。

8:55発。しばらくは不動沢側が大きくガレた稜線の縁を歩く。黒部側がハイマツ帯なので問題はないが、道の所々にひびが入っていてその道もいずれは崩落していくものと思われた。前日の大腿部側方の痛みは跡形もなく消えたが、この日は下りの際の深い屈曲で大腿部前面に痙攣が来ており、一抹の不安を抱えたまま船窪岳への登りにかかる。
目標までに第2ピークを含むまで3つのピークを越えなければならず、船窪小屋までは5時間弱,七倉へはさらに4時間の下降で明るいうちに下山するのは難しい情勢になってきた。

9:38,1つ目のピークにかかる。穏やかな登りでミツバオーレンの花に混じって何故かツルリンドウの赤い実が見られた。
10:07,2341mのピークに到達。目の前に第2ピークへと続く岩稜帯の岩肌を見る。日当たりのいい岩場の縁にコイワカガミが咲き、少し樹林帯に寄った辺りにはショウジョウバカマが見られる。

ロープやワイヤーのある岩場をさらに1時間40分歩き、それとわからぬままに2つ目のピーク(2299m)を越えて11:55船窪第2P(2459m)に着く。不動岳から3時間,この間にいくつものアップダウンがあり、その度に雪渓があって大幅に時間を食い、目標とする時刻より1時間近い遅れが生じていた。
ここから船窪乗越までは夏道で1時間10分,船窪小屋まではさらに1時間10分を要するので14時までに小屋へ着くのは難しいかもしれないが、ビバークの用意はあるので花を見ながら急がずに歩いてきた。

雪に覆われた第2Pからはガスで東半分を隠されて槍のように天を突く唐沢岳や七倉岳方面,最後の稜線歩きとなる船窪CP場への道,また北北東から真北にかけて蓮華岳・針の木岳の大きな山塊を見る。
12:20発。ここから船窪岳までの道は小さなアップダウンにワイヤーと梯子が連続し、足場の定まらない場所もある不安定な道。12:57,小さな鞍部を越えて急登にかかるとそこからシラネアオイの大群落が始まり、感嘆の声を上げながらしばらくは写真に没頭。最後にミネザクラの花を見るが、そこから最も険悪な鞍部への足場の悪い急降下となる。
邪魔なワイヤーを避けながら下りきるとすぐに登り返しとなるが、掴んだ岩が脆くて剥がれ、岩を抱いたまま背中から1mほどずり落ちる。右手(稜線側)の岩が谷側にせり出しているので逆コース(下り=前回)にとってはさらに難しい所だ。13:20に通過。
悪場はさらに続き、壊れた丸太の足場,半ば腐ったロープ場を越えてひと登りでようやく崩れた稜線の縁に出る。10分で船窪岳に着(13:41)き、20分の休憩。

14:00発。下って14:07船窪乗越を通過。前回は針の木谷から登って来てここで烏帽子岳へのコースに合流したのでここから先は未知のルートとなる。
乗越を越えると北葛岳が正面になり、どんどんとそちらに近づいて行く感じになる。船窪・七倉岳への道はそこから大きく右に曲がり、やがて北葛岳が遠のいて正面に七倉岳が見えてくる。
14:34,再び現れたシラネアオイの花を撮る間にG氏が先行。ここまで水の量に不安があり雪を食べながら歩いて来たので水場のあるキャンプ場の位置が気になって仕方がない。

14:54,再び稜線の縁に出て眼下に不動沢最深部の荒々しい岩場を見る。暑くなり渇きを覚え、水場を期待しつつさらに20分歩いて15:14,キャンプ場に着く。水を確保できることで安心する。
だがキャンプ場に期待した水場はなく、あったのは雪田の下部に出来た小さな水溜りだった。水面に小さな虫が浮いてはいるが水は澄んでいるので濁らせないように静かにボトルに詰めてそれを飲み、さらにもう1本のボトルに詰めて船窪からの下りに備えることにする。虫の死骸などもはや気にもならない。
本来の水場は北葛側の谷の方にあったらしいのだが、そちらを探す余裕はなかったのだ。

15:39発。階段を登って右にゆっくり斜上する道を行く。その道は不動岳からずっと見えていた七倉岳の尾根に向かう道であり、船窪小屋はその尾根のラインの向こう側にある。
16:03七倉・北葛岳方面に向かう分岐点を通過。16:08明るいハイマツ帯の中、青い屋根の船窪小屋見る。16:11着。

以下,編集中
北アルプス裏銀座,逆縦走
6月14日(日) 木偶野呂馬&G3氏
1;コース状況/その他周辺情報:

③南沢岳から不動岳に向かう鞍部の手前で大量の雪のため道は分からなくなり、稜線の縁を避けて左に寄るあまり下がり過ぎてしまった。このため南沢岳から不動岳まで2時間半を要して大きな遅れが生じた。不動岳から船窪岳まではアップダウンが激しく、また鞍部付近に悪場がある上にここでも大量の雪で難渋させられ、大幅に時間をロスして船窪小屋着が予定より4時間近く遅れた。
④本来なら1泊では無理な行程であり、船窪小屋に16時過ぎに着いたことをよしとしてここでもう1泊すべきであるしその用意もあったが、夜道に日暮れ無しと言うことで真っ暗闇の中、下山を強行した結果5時間を要した。



2;行動の記録
6月14日(日)
4時になるのを待って起きる。前夜食べなかったアルファ米1袋とレトルトのカレーがあったが、これを湯煎するのもまた用意したアルファ米のリゾットを湯戻しするのも時間がかかるので、お湯を沸かして残った握り飯と簡単スープを流し込む。融かした雪でお茶を作って飲料を確保し、6:00出発。
6:08,南沢岳の三角点を通過。前日,通過したピークは山頂ではなかったようで、標高2625mは今回の縦走最高地点。目の前には不動岳西面の大崩れが見えているが、その間には南沢乗越の深い切れ込みがあってここからは200mあまりの下りとなる。



不動岳西側の高瀬ダム側は、前日最後に渡った濁沢の源頭部に当たっており激しく崩落している。それは乗越を隔てたこちら側の南沢岳も同じで、登山道は稜線の縁である崩落した部分とハイマツ帯の境目を通っているので気が抜けない。
この辺りから残雪が多くなり、雪の急斜面の下降を余儀なくされる場面もしばしばで、その途中でスリップして5mほど滑りハイマツ帯に突っ込む。しばらくの後腕時計がなくなっているのに気づいたが引き返すにはすでに遅すぎた。
そう言う雪で寸断された難しい道であっても、雪が融けた所には春が来て草が芽吹き、花が咲く。
6:45,南沢乗越を通過して大きくガレた不動岳の前ピークの登りに入る。西面は急登だが雪がなく花が豊富で、ユキザサに混じってキヌガサソウやショウジョウバカマが見られるようになる。キヌガサソウの芽だしはユキザサをそのまま太くしたような感じで両者が非常によく似ていることを知る。



ふり返ると先ほど下ってきた南沢岳からの道がよく分かり、またはるか遠方には烏帽子岳の奇怪な山頂を望むことができた。
7:25,前ピークに到達。10分休んで展望を楽しむ。南沢岳からここまでは1時間25分。大幅ではないが予定をややオーバーしているのは雪が多いせいか・・。
7:35分。不動岳まで順調に行けば20分ほどの道であるが、ここから登山道が完全に雪に閉ざされて分からなくなった。右側の様子が分からないので稜線の縁を避けて左側の雪面を斜めに下り、樹林帯を突破しようとしているうちに稜線からかなり離れた位置まで下ってしまった。
道を見失い、遮二無二ブッシュをかき分けて抜けると広くて分厚い雪の斜面に突き当たる。幅40m,下に向かってどこまでも続く大斜面で長さは計り知れない。目印を探したが何もなく、その上悪いことにG氏が潅木に眼鏡を取られて探しに戻るというアクシデントが起きた。
ここは斜面を登って稜線に出る道を探すか、ハイマツ帯を突破するしかないと覚悟を決めて急斜面を登る。
雪の斜面を斜めに横断しながら登りきると道があった。上からハイマツを踏んで下ってくるなら兎も角、下からハイマツ帯を突破して登る等,口では言えてもできるものではない。この道がなかったら稜線に出るのは不可能に近く、樹林帯に迷い込んだ位置まで戻るしかなかったかもしれない。
8:35不動岳着。テン場から2時間35分と夏道の2倍の時間を要し大幅に遅れが出た。倒れた山頂標識を2人で立て直したり、写真を撮ったりしてやや長めの休憩をとる。烏帽子ははるか遠くなり、南沢岳にかけてガスが立ち始めていた。



8:55発。しばらくは不動沢側が大きくガレた稜線の縁を歩く。黒部側がハイマツ帯なので問題はないが、道の所々にひびが入っていてその道もいずれは崩落していくものと思われた。前日の大腿部側方の痛みは跡形もなく消えたが、この日は下りの際の深い屈曲で大腿部前面に痙攣が来ており、一抹の不安を抱えたまま船窪岳への登りにかかる。
目標までに第2ピークを含むまで3つのピークを越えなければならず、船窪小屋までは5時間弱,七倉へはさらに4時間の下降で明るいうちに下山するのは難しい情勢になってきた。



9:38,1つ目のピークにかかる。穏やかな登りでミツバオーレンの花に混じって何故かツルリンドウの赤い実が見られた。
10:07,2341mのピークに到達。目の前に第2ピークへと続く岩稜帯の岩肌を見る。日当たりのいい岩場の縁にコイワカガミが咲き、少し樹林帯に寄った辺りにはショウジョウバカマが見られる。



ロープやワイヤーのある岩場をさらに1時間40分歩き、それとわからぬままに2つ目のピーク(2299m)を越えて11:55船窪第2P(2459m)に着く。不動岳から3時間,この間にいくつものアップダウンがあり、その度に雪渓があって大幅に時間を食い、目標とする時刻より1時間近い遅れが生じていた。
ここから船窪乗越までは夏道で1時間10分,船窪小屋まではさらに1時間10分を要するので14時までに小屋へ着くのは難しいかもしれないが、ビバークの用意はあるので花を見ながら急がずに歩いてきた。



雪に覆われた第2Pからはガスで東半分を隠されて槍のように天を突く唐沢岳や七倉岳方面,最後の稜線歩きとなる船窪CP場への道,また北北東から真北にかけて蓮華岳・針の木岳の大きな山塊を見る。
12:20発。ここから船窪岳までの道は小さなアップダウンにワイヤーと梯子が連続し、足場の定まらない場所もある不安定な道。12:57,小さな鞍部を越えて急登にかかるとそこからシラネアオイの大群落が始まり、感嘆の声を上げながらしばらくは写真に没頭。最後にミネザクラの花を見るが、そこから最も険悪な鞍部への足場の悪い急降下となる。
邪魔なワイヤーを避けながら下りきるとすぐに登り返しとなるが、掴んだ岩が脆くて剥がれ、岩を抱いたまま背中から1mほどずり落ちる。右手(稜線側)の岩が谷側にせり出しているので逆コース(下り=前回)にとってはさらに難しい所だ。13:20に通過。
悪場はさらに続き、壊れた丸太の足場,半ば腐ったロープ場を越えてひと登りでようやく崩れた稜線の縁に出る。10分で船窪岳に着(13:41)き、20分の休憩。



14:00発。下って14:07船窪乗越を通過。前回は針の木谷から登って来てここで烏帽子岳へのコースに合流したのでここから先は未知のルートとなる。
乗越を越えると北葛岳が正面になり、どんどんとそちらに近づいて行く感じになる。船窪・七倉岳への道はそこから大きく右に曲がり、やがて北葛岳が遠のいて正面に七倉岳が見えてくる。
14:34,再び現れたシラネアオイの花を撮る間にG氏が先行。ここまで水の量に不安があり雪を食べながら歩いて来たので水場のあるキャンプ場の位置が気になって仕方がない。



14:54,再び稜線の縁に出て眼下に不動沢最深部の荒々しい岩場を見る。暑くなり渇きを覚え、水場を期待しつつさらに20分歩いて15:14,キャンプ場に着く。水を確保できることで安心する。
だがキャンプ場に期待した水場はなく、あったのは雪田の下部に出来た小さな水溜りだった。水面に小さな虫が浮いてはいるが水は澄んでいるので濁らせないように静かにボトルに詰めてそれを飲み、さらにもう1本のボトルに詰めて船窪からの下りに備えることにする。虫の死骸などもはや気にもならない。
本来の水場は北葛側の谷の方にあったらしいのだが、そちらを探す余裕はなかったのだ。



15:39発。階段を登って右にゆっくり斜上する道を行く。その道は不動岳からずっと見えていた七倉岳の尾根に向かう道であり、船窪小屋はその尾根のラインの向こう側にある。
16:03七倉・北葛岳方面に向かう分岐点を通過。16:08明るいハイマツ帯の中、青い屋根の船窪小屋見る。16:11着。



以下,編集中
Posted by okirakutozan at 15:16│Comments(0)
│長野
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