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2009年12月23日

日本3坂・ブナ立尾根

日本3坂・ブナ立尾根~1日目・七倉ダムから烏帽子・南沢岳へ
 北アルプス裏銀座コース・七倉ダム~烏帽子岳,南沢岳
 6月13日(土) 1日目 木偶野呂馬&G3氏
1;コース状況/その他周辺情報

日本3坂・ブナ立尾根

①ブナ立尾根は衆知の急登。2208mの三角点付近から雪が現れる。右手に不動岳方面が見える尾根に出て左にカーブし、ダケカンバの大木を見る辺りからシラビソ帯となり大量の雪を抱えた急斜面の登りとなる。右手の斜面をなるべく避けて左よりの樹林との際を進む。急斜面はどこが登山道か分からないが、異形のダケカンバの下に標識№1があり、そこからは登山道を辿って烏帽子小屋まで一息である。
②烏帽子小屋から烏帽子岳,南沢岳方面へは雪があったりなかったりであるが、北進するにつれて雪が多くなる。南沢岳の手前の平原状の場所は二重山稜のようになっており、南側に見える雪のない尾根の方へ行こうとして迷走し、ハイマツ帯を突破できずに元に戻るのに1時間20分を要した。南沢岳の西のピークの下に雪があって風があまり来ないビバーク点があった。

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2;行動の記録
 6月13日(土)
 登山ブログで交流のあるG3氏との間でブナ立尾根を登ってみませんかと言う話しがまとまり、前夜のうちに静岡市から来て仮眠していたG3氏と七倉ダムのゲートで落ち合う。初対面の挨拶もそこそこにそれぞれパッキングして5:35から歩き始める。
 高瀬ダムまでの3.7kmを歩いて6:32ダム下休憩。ロックフィルダムに取り付けられたこっちから向こうまで2往復半,1kmの車道を歩くのは馬鹿らしいので大岩を直登して20分で高瀬ダム堰堤に着く(6:55)。
 ダム左岸の不動トンネルを抜けて不動沢の長いつり橋を渡ると河川敷に出る。鉄製の梯子道に導かれて濁り沢の吊り橋を渡り、水を補給して7:35から登山道に入るといきなり急登が始まる。『11』と書かれた標識があるが意味不明。長丁場なので休まずゆっくり登り、8:28,『落石注意』と書かれた標識NO『9』の巨岩,通称『権太落とし』で最初の休憩。
 8:35出発。直後にパラパラッと雨が来て、雨の多い南アの人らしくG3氏は素早く雨具とザックカバーを着ける。自分は面倒なので様子を見ながら先行。足元にツバメオモトの花,次いでシラネアオイの花を見て『そう言う季節なのだ』と頭が下界とは違う世界に反応し始める。こうして写真を撮りながら徐々に高度を上げるうちに気持ちも体もその世界に順応して行くのだろう・・。
 9:05,標識NO『7』を通過。シラネアオイが見事なのでG3氏にはゆっくり写真を撮ってもらう。

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 9:42,標識NO『6』に着き2度目の休憩の際に雷鳴を聞く。G3氏によると『前線が通過する見込み』だそうだが、1日中雷につきまとわれるのではないかと不安になる。稜線での雷はゴメン蒙りたいものだ。
 9:55発。今回の山行には幾つかの不安があった。早くもそれが的中したのか、左脚大腿の外側に痙攣痛を感じる。ごまかしながら歩いていると痙攣は内側に移行し、なおも我慢していると今度は右脚に移行した。
 この冬は一度も冬山に登らなかったので体力に自信がない。加えて登山靴を修理に出したままでアップシューズや地下足袋での山行が続いたために足が登山靴の重さに耐え切れず、歩き始めからどうも左右にふらつくのが気になっていた。大腿部の外側と内側の痛みはその影響と思われた。筋肉は8時間動かさない状態が続くと退化を始めると言うから登山靴の重さや踏ん張りに対応する筋力が衰えているのは明らかであるが、それは使うことによって鍛えられ回復するのを待つしかない。

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 10:06,右手が開けて烏帽子岳,南沢岳の岩峰群や不動岳の大崩れを望める場所があり、ここで立ち止まって行く手の稜線を地図で確認している間に左右の大腿部両側の痛みがうそのように消えた。10:20,雨がやや強くなりG3氏に倣って雨具とカバーを着ける。マーフィーの法則通り着るとすぐに雨が上がり、20分後に雨具を脱ぐ。雷は去った模様。足元に小イワカガミやエンレイソウ,サンカヨウの花を見る10:31標識NO『5』を通過。
 10:49,最初の雪渓が現れG3氏はここでアイゼンをつけたが自分はツボ足で通過。道はすぐに雪渓から離れ、10:59に標高2208mの三角点に着く。登山道に入ってからの所要時間は3時間25分。

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 11:20発。10分でタヌキ岩と言う巨岩を通過。さらに20分あまりで不動岳,船窪岳を望む場所に出る。そこからは尾根に沿って左にカーブしながら進み、右下がえぐれた場所を通過してダケカンバの大木を過ぎた辺りからシラビソ帯となり、12:24頃から大量の雪を抱えた稜線下の急登が始まる。

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 登山道が分らないので先頭を行くG3氏も見当をつけて遮二無二登って行くが、次第に斜面が傾斜をまして行くのも構わず平然と登っていくG3氏の後を追うのが恐くて左の樹林の際を行く。
 最もそれを必要とするこの急斜面でなぜか2人ともアイゼンをつけず、自分はピッケルさえ背中に負ったままで登ってしまっていた。アイゼンやピッケルのことを考えもせずに雪面に入ってしまったのだが、いつの間にかとんでもない斜度になっていたのだ。

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 樹林の際を行くと雪の解けた場所から登山道が覗いており、異様な形状のダケカンバがあって標識NO『1』と書かれたその場所でしばらく休む。時刻13:16。ここまで、雪と格闘する間にたちまち時間が経過していたようだ。
 すでに小屋に迫っているものと思っていたG氏も少し先で休んでいたらしく、歩き始めるとすぐ前を行く姿が見え、やがて主稜線と小屋への道を分ける標識に着くと目の前に烏帽子の小屋が現れる。
 13:51着。三角点からは2時間30分で雪のため夏道の倍近くかかっていた。登山道に入ってからは約6時間,七倉のゲートからは8時間16分。

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 烏帽子小屋の前庭は立山や薬師岳を望む絶好の展望台で、しばらくはベンチに座ってG3氏が広げた地図で山を同定するなどしてくつろぎながら次の行程をどうするかを考える。
 西側の目の前に横たわるのは赤牛岳でそこから左手に伸びた稜線の先に水晶岳があり、その稜線と裏銀座の主脈が合流するのが鷲場岳で、その手前が真砂岳,野口五郎岳と言うことになる。
 一方,赤牛の背後に重なるのは薬師岳で、視線を北北東に転じた目の前には不動岳,その後に針の木岳が重なり、さらにその陰には鳴沢、赤沢辺りの山が見え隠れする。黒部ダムはその直下を西に越えたところであり、赤牛岳を目の前にするこの位置からは見えない。その西に位置する立山のカールらしきものは認められるが、剣岳は視認できなかった。
 また、南側の眼前には唐沢岳が錐のように鋭く天を突き、その後から餓鬼岳の長い稜線が南に伸び、東沢の大だるみを隔てて燕岳の岩峰を望むことができる。そこから先の大天井岳や常念岳の吊り尾根も見えるが、槍・穂高岳方面はガスの中だ。

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 14:27,時間的にも体力的にも船窪方面への前進は可能との結論を得て烏帽子岳に向かい出発。ゆるやかに左にカーブするハイマツ帯の稜線を行く。この辺りは雪もなく快調。
 2605mの前烏帽子から改めて周辺の山々を見る。何と言っても烏帽子岳の天に向かって合掌するかのような鋭い岩峰が圧巻で、柱のようにきれいに並んだ岩が美しい。この岩峰はしかし、進むにつれてそれまでとはまったく違った異様な姿へと変貌する。

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 15:08,烏帽子岳岩峰への分岐点に到達。時間が押しているので山頂には向かわず通過,一転して雪の斜面となる。南沢岳との鞍部は烏帽子田圃と言う湿原で、この辺りをビバークの候補地とも考えていたが、できればさらに進んでおきたかった。
 湿原は凹地であり、一方の縁は烏帽子からの稜線でもう一方に並行する山稜があって二重山陵を形成していた。そのもう一方の小高い山陵に踏み後が見えたのでそこを目指して雪面を突き進んだが、もう少しと言うところで分厚いハイマツ帯に阻まれて進めなくなる。しばらくはあちらこちらと突破口を探したが無理と分り、後退を決めて下ってきた雪面を登り返し、最後はシラビソとハイマツの混じる薮の中を這うようにして突破し、16:29,登山道に戻る。烏帽子分岐から1時間20分のタイムロスとなる。

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 ここから南沢岳への登りの途中から急に冷たい西風が吹き始めて山頂下では霰が降る。
 17:00,南沢岳(2625m)の前ピークに到達。ここをビバーク地点と決めて山頂東側直下の雪面を均しテントを張る。
 雪を溶かした水を沸かしてアルファ米を戻し、レトルトのカレーを温めて用意したが、G3氏がつくってくれた梅酒のお湯わりを頂き、行動食を食べているうちに食事が面倒になり、G3氏によると『あぐらのまま鼾をかき始めた』とのことで結局カレーは食べずに横になる。

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 ひとしきり熟睡し、目が覚めて2時間近くじっと考え事をしながら夜明けを待つ。風に時おり雨音が混じる。
 2時を廻ったかと時計を見るとまだ0時前で、それから悶々と時の過ぎるのを待ち、何度かまどろんでようやく4時を迎える。どんなに疲れていても3~4時間熟睡すれば充分で、後は時間をもてあますのが常の幕営である。
 6月14日(日)へ続く







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Posted by okirakutozan at 12:45│Comments(0)長野
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