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2009年11月03日

学童登山(2009.10.17)

小学生と山登り

2009年10月17日 栃木県宇都宮市 古賀志山  記録者 ぺんぎん隊副隊長

息子との登山をして来たこの10年間で私が感じていた事は今の小学生にとって登山というものは特別な物であるという事だった。特に息子に関しては私や私の友人と行く源流釣りその物がテントを持たないいわゆる野宿という形式で普通の生活では経験しない範疇にありながらそれが当然のように過ごして来た。でも今の小学生にとって山に登る行為それ自体が縁遠い存在であり友達からの遊びの誘いを「山に行くから。」と断る息子の様な存在は不思議人そのものなのだそうだ。

そんな現状に寂しさを感じていた私が宇都宮市の青少年指導員という立場になり地区の育成会事業に関わるようになって計画をしたのが学童登山だった。私が源流釣りで時々立ち寄る山形県の天狗角力取山天狗小屋の小屋番が「毎年大井沢の小学6年生が遠足で来るんだよ。」と宴席の中で漏らした一言がいつも頭に残っていたことも手伝っていた。息子が6年生の時に実現したかったが諸事問題をクリアして実現したのが一年経った今年である。

小学生を対象に1~3年生はトリムコースでアスレチック、4~6年生は古賀志山登山として募集をかけた。面白いというか予測の範疇ではあったが高学年の申し込みは少なかった。単に「今度のイベントは山登りでしょ?」と言って敬遠されたのだ。
学校登山そのものが万が一の保障問題で少なくなっている時代であるから一人の青少年指導員が企画する学童登山としては致し方の無い事ではある。それでも女の子を含む10人の小学生が登山に参加してくれた事は次に繋げる意味でも有難い事だった。

古賀志山は宇都宮市の西に位置する。岩で構成される稜線の凹凸が異様であり一目でそれと分かる山である。山頂には円盤型のアンテナが聳えて遠くからでもその位置を確認出来る。市内からも十分にその姿を眺められ身近な山として古くから親しまれている。街の暮らしの中でも「あそこに登ったんだよ。」と指を指してそう言える山である。

高学年児童を従えて宇都宮市森林公園奥の北登山口から登る。古賀志山の一般的な登山コースはこの北登山口ともう一つ山の反対側に位置する城山西小学校奥から登る南登山口がある。北コースは時間が掛かるが割合なだらかな登りで南コースは時間は短縮出来るが急登が続く。今回は森林公園でアスレチックをする低学年との兼ね合いもあり北登山口から登り始める。

アスファルトの道路から赤川の橋を渡っていよいよ登山道は始まる。辺りはスギ林に囲まれてうす暗く日常と違ういよいよ世界へと冒険する子供たちの顔が引き締まって来る。
ほぼ平たんな登山道を約10分歩くと水場に到着。岩の間から顔を出すビニールパイプから水が落ちている。「飲んでも良いですか?!」の問いかけに私が頷くと早速に元気の良い男子が両手を合わせて水を汲み飲む。「美味しい!」の一言で次から次に水を汲み飲み始める。

水場で小休止をして登山を再開。ここから次の休憩地点までの15分くらいはまだまだ緩やかな登りでみんな元気に歩いている。それでも次第に列が間延びして行くのは仕方が無い。若手の育成会役員を先頭に立て、間にも大人を挟んで最後尾を私が歩く。ちなみに息子は中学生ジュニアリーダーとして今回登山の引率を手伝っている。

最後尾が第二休憩地点である広場に到着した時はもう先行している男子児童は十分に休憩した状態。それでもここからは地面が雨水に洗われて木の根が露出した登山道がしばらく続く。出発前に登山中の注意事項として「登山道は走らない事」「木の根を縦に踏まない事」を特に注意してある。児童たちはその私からの注意事項をこの部分の歩きで身を以て十分に理解してくれた様子である。

木の根も露わな歩きにくい登山道を突き当たると右に折れて稜線へと上がる急登が始まる。見上げれば大きな岩が垂直に切り立つ間をひたすら登って行く。
左手の岩肌10mほど先に丸い物がぶら下がっているのを見つけて子供たちを制止させその場から観察を促す。キイロスズメバチの巣である。ひっ切り無しに出入りしているキイロスズメバチを遠くから眺める子供たちの目は真剣である。町に居ては秋ともなると「遠足中に小学生児童が多数スズメバチに刺されて・・・」なんてニュースを耳にしたこともある彼らにとって、それが何時に無く身近に感じられた時間だっただろう。

稜線に上がると暫くは平たんな尾根歩きが続き最後のクサリ場を迎える。クサリ場と言っても50mほどの急登に補助的なロープが沿って張られているに過ぎない。慌てず急がず登れば良く、強いて言えば下りの時こそ気を付けなければならないと教える。

息を切らせて東稜見晴らしと山頂との中間尾根に飛び出す。まずは「頂上制覇だ!」と右に進み古賀志山山頂に向かう。麓から見えた円盤型のアンテナの横を登り山頂に立つ。東に開けた展望を目の当りにして子供たちは歓声を挙げる。全員の顔に山登りを達成した自信と満足感が溢れている。そんな彼らの顔を記念にと山頂表示の前で記念撮影。

山頂でのひと時を楽しんだ後、東稜見晴らしに立ち寄り赤川ダムを見下ろす。森林公園の方でアスレチックを終えた何人かがダムの橋上で手を振る姿が見えるのでこちらも負けずに手を振り返す。

「さて、降りたらバーベキューだ!」

私の声にみんなが「おお!」と歓声を挙げる。
意気揚々と下山に掛る児童たちだった。

  
タグ :栃木


Posted by okirakutozan at 07:01Comments(0)栃木