社山(2009.12.13)
社山
2009年12月13日 栃木県日光 社山 記録者 はら坊
一週間の疲れが溜まりに溜まって一日中ゴロゴロ寝ていた土曜日の夕方、副隊長からメールが入った。
『明日空いてる?』
『空いてます。』
『近場で何処か行く?』
ってな感じで日光中禅寺湖の畔に在る社山に行く事になった。
その後の会話も色々あったが、長くなるので省略する事にする。
社山{しゃざん}と言うらしい『随分と神々しい名前だな~。シャザンオールスターズ』などとボケてみるものの反応は中禅寺湖の水くらい冷たい。寒さも余計に身にしみる。
神々しい名前に胸が高鳴る・・・じゃなく湖畔の遊歩道でもう心臓がバクバクで高鳴るのは心拍数だ。
遊歩道から見える社山の頂は、勿論雪。
尾根ずたいの登山である事は、下から見ても分かる。
何処と無く赤城山の黒檜山を思わせる佇まいである。
途中男体山が湖に映り込み逆さ冨士ならぬ逆さ男体山を見せてくれた。
副隊長も言っていたが、~富士という名が付いていないのが不思議なくらいだ。
やっと登山道入り口に到着。って先週も言っていたが、標高差が無いので全然楽な筈だが疲れが溜まった体には結構こたえる。
第一のピークに立つと榛名山の掃部ヶ岳からの眺めに似ている。
と言っても此方は、かなりのラージ版である。
尾根ずたいを歩いていると、足尾側には木が無く、中禅寺湖側には木が生えている。副隊長が言うには、銅山の鉛害の傷跡らしい。
この尾根を挟んで足尾側では、鉱夫たちが身を削り働いて居たのであろう。その北側の中禅寺湖側では、名だたるヨーロッパの貴族たちが余暇を満喫していたのであろう。何だか複雑な気分であったが、展望はと言うともう最高であった。関東平野は雲の中だった物の中禅寺湖側は男体山~白根までくっきりと見える。
が、まだ山頂には到着はしていないのだ。
あそこが山頂だ・・・っと三回くらい言った所でやっと山頂に到着した。
神々しい名前とは裏腹に祠も何も無い山頂だった。
山頂から少し先に行くと視界が開けてとても綺麗だった。副隊長と『あれが皇海山で、鋸山、んじゃあれが庚申山かな』などと先週行った山の位置を確認たりして見る。とても楽しいひと時である。
昼食には久し振りの山頂ラーメンとおむすびをたいらげ下山。
隊長と雪合戦をしながら下山したが、隊長の足取りは今年の両神山の雪の下山の時とは比べもんにならない位軽かった。
下山する時は登りとは別の景色が見えるから不思議だ。それを楽しみながら無事に下山し、イタリア大使館別荘を覗き込んで今回の山行も無事フィナーレとなった。
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記録者 副隊長
息子から「日曜日部活休みになったよ。」と聞かされ「それじゃ!」と登山の相談をしていた矢先に「年内中にもう一つ何処か行きたいですねぇ。」と原くんからメッセージを貰った。今日の明日では?とも思ったが誘いのメールを入れると一発で鈎掛り。全く呆れるくらいの入れ食い状態、釣り堀のニジマスみたいな奴だ。
原くんは私から一回り下の同じ誕生日7月27日生まれという関係で山渓を共にする弟のような存在で、息子佑次郎はそれから二回り下の三人共がネズミ年。今回はこんな三人のパーティーなのでぺんぎん隊というよりネズミ隊なのである。
今回も行き先はこちらに任せてくれるという事なので前々から気になっていた社山に行く事に決めた。社山は日光中禅寺湖畔にあり展望の良い山として評判が高い。稜線から見下ろす中禅寺湖や対岸に聳える男体山の眺めが素晴らしいという。
ロケーションの良さから言えば新緑や紅葉の季節に訪れたいところだか、その時期の日光はさすが世界遺産とばかりに気軽に足を向ける気になれないくらいに混雑していろは坂などは大渋滞である。自然と足が向く季節は俗に言うシーズンオフになるわけだが、しかしこのシーズンオフは私や原くんの趣味であるイワナ釣りが禁漁期となり山渓を両立出来るシーズンでもある。
車を乗り入れた立木観音前の歌ケ浜駐車場。目の前に広がる中禅寺湖の湖面は早朝の静けさを漂わせ、遠く対岸の奥白根山が真っ白な頭をクッキリと見せている。男体山も山頂まで隠すところなく見事な雄姿で聳えている。
歌ケ浜からイタリア大使館別荘跡を抜けて狸窪から八丁出島。のんびりと歩く湖岸路は誰もいない静かな散歩道だ。湖岸路を更に阿世潟へと歩く。小砂利の浜辺に小さな波が打ち寄せて静かな湖面に男体山が逆さに写り込んでいる。
阿世潟から湖岸路に別れを告げて登山道に入る。カエデやミズナラの林を登って行く登山道には薄らと雪が積もっている。天気の良かった昨日に何人かの登山者が有った様子で、登山靴の足跡が朝の冷え込みに凍りついている。
足跡を追うように登り詰めると阿世潟峠に登り着く。この峠はかつて足尾町との往還に使われていたらしいが今は利用する人も少ない様子だ。また峠から左に分かれて尾根を登って行けば半月山へと通じている。我々は右の尾根から社山を目指す。
ひと登りでアンテナが立つ小ピークを巻いて眺めの良い場所に立つ。樹木が途切れて中禅寺湖が見下ろせて奥白根山が特徴のある姿を見せる。ここからは歩く程に微妙に変わるパノラマを楽しみながらの稜線歩きだ。
雪に覆われた笹原の稜線をのんびりと登って行く。行く手にある雪をかぶったピークを追い掛けながら登る。一つ登ればその先に一つと言った具合だ。
初冬を迎えた日光、見下ろす中禅寺湖も対岸を走る湖岸の国道も今日はやけに静かだ。湖面を滑るように走る遊覧船も今日は休みの様だ。大自然にも休日があるのか視界の中で動いているのは雲と鳥と我々だけだ。時折、遠くからシカの鳴く声が聞こえて来る。
シャクナゲが目立つピークに登り着く。なだらかな地形の先に山頂表示と三角点が見える。社山山頂だ。
頂上を挟んで中禅寺湖と反対側には足下に深く切れ込む渓の流れがある。松木川支流久蔵川。かつて製錬所の煙害に見舞われた足尾の渓の一つである。私たちが立っているピークには僅かに根元だけ立ちあがって朽ち果てている太い樹木の幹がいく本もある。樹木に覆われた中禅寺湖側の斜面とは対照的に近年漸く根付いたとみられるか細い林の斜面の下方を遥か先まで追う視線の先に松木川に掛かるダムと銅親水公園の大橋が見える。今春、息子を連れて銅親水公園から松木川を遡った。樹木の生えない山肌を渓から見上げて歩いた記憶もまだ新しい筈だ。今度は生と死の分かれ目となったこのピークに立ったことでまた一つ何かを感じてくれたらと思う。
久々に山頂ラーメンを食べ穏やかで楽しい時間を過ごす。皇海山から鋸山、庚申山と先週登った山を眺める。「あれが○○であそこが○○」と山頂から見渡す景色の中にかつて行った事のある場所を探し当てる。山登りの醍醐味は登る事もさることながら展望の中に喜びを見つける事も大きい。その点、この社山は話題に事欠かない。周囲の山々や二荒山神社や龍頭ノ滝などの観光名所、戦場ヶ原や小田代ケ原のハイキングコース、釣り竿担いで歩いた渓まで全部見渡せるからだ。
のんびりと山頂でのひと時を独占していよいよ下山。まだ丁度お昼を迎える時刻だ。中禅寺湖を終始見下ろしながらの下山もきっと楽しい事だろう。そんな期待を抱いてザックに腕を通す。
山頂表示杭の上に置いた息子が作った小さな雪ダルマにみんなで別れを告げて一気に下り始めた。
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