ちょいと本沢へ~雪中往復12時間の日帰り入浴

okirakutozan

2010年01月11日 22:39

ちょいと本沢へ~雪中往復12時間の日帰り入浴
1月10日(日) 八ヶ岳・渋の湯~本沢温泉往復 参加者2名 記録:木偶野呂馬
 





 前々から本沢温泉に行こう行こうと言いながらなかなか実現しなかったのは、縦走の途中で立ち寄って稲子か松原湖方面に下るのでなければ態々温泉狙いで行ってまた戻ってこなければならないからである。
 今回はシーズン最初の足慣らしを兼ねてそれをやろうと言うことになり、天狗岳方面には目もくれずひたすら本沢温泉だけを目指し、また汗をかいて戻ることにした。

 





 中山峠からルートは夏沢峠経由でぐるっと廻るかあるいはその逆かであるが、峠まで来て見ると天狗岳方面の風が強そうなので、あまり深く考えずに行け行けドンドンで峠を越えてみどり池・しらびそ小屋方面に下る。
 2人ともそのルートを知らないままに、いきなりの鎖場からほぼ真下に向けて一気に谷底まで下ろされ、さらに急な下りが続くのにびっくりする。200mは下ったかと思う辺りに『中山峠まで40分 みどり池まで40分』と書かれた看板があり、時計を見ると峠から20分かかっていた。その時点では『こんな壁のような急登なんてとても登れたものじゃない~』等と思っていたルートだが、結果的には帰路そこを登る羽目になる。

 





 看板から幾分ゆるくなった道を下る途中で10人あまりのパーティーと数人のパーティー、2人ずれの2組のパーティーを交わし、30分あまりで『みどり池⇔中山峠』の標識を通過,その少し先でみどり池・しらびそ小屋方面と本沢温泉方面の分岐点に到達し、右折して尾根越えの道に入る。中山峠から55分。

 





 道は天狗岳から東に張り出す大きな尾根を越える道で、はじめはほぼ等高線に沿った揺るやかな登りがだらだらと続き、最後にややきつめの登りがあって尾根を乗越す辺りに『本沢温泉へ30分』の標識があり、そこから登った分だけ下るとまもなく稲子小屋方面からの道に合流する。そこで4人のパーティーを追い越して20分弱で本沢温泉に着く。中山峠から2時間17分,渋の湯からは5時間17分。
 





 本館の少し下にある外風呂は本館とは別料金(600円)で男女別になっておらず、混浴もしくは混浴を避けたければ先客優先で空くのを待つ,あるいは待ってもらうと言う仕組みになっている。浴槽が2つあり木の板で覆われているのではじめはかなり熱いが、蓋を取って浸かっているとすぐに丁度いい湯加減になる。蓋を全部取らずに首だけ出していればそれ以上は冷めないのでゆったりと長湯できる。
 4~5人は入れるが脱衣場が狭く登山スタイルでの靴や衣類の着脱に手間取るのが難点。野天風呂は登山道を少し登って先の沢にあるが、まったくの野天なので雪の中で入るには脱衣,着衣が大変そう。

 









 しっかり温まり弁当を食べて帰途に就く。予定では夏沢峠から箕冠山,根石岳,東天狗岳と廻ることになるのだが、ナイフリッジで吹雪かれるのは避けたいと言うことで来た道を引き返すことにする。
 中山峠直下の登りを考えると気が重いが、お湯に浸かって緩んだ気分での稜線歩きはよろしくないだろう。『逆コースにすればよかった』とjun1さんが悔やむことしきりだが事前研究不足で致し方なし。

 





 中山峠まで3.5時間,渋の湯まで6時間を見込んで11:40に出発。アイゼンをつけたので蹴り足が流れない分だけ歩きやすくなり、みどり池分岐まで1時間半,峠下の看板まで2時間半と順調に来る。途中で女性1名を含む4人の若者のパーティーに先を譲って後を追うも、22~23kgを担いでぐいぐい登って行く若さには追いつきようもなかった。

 





 峠下からの登りでは木の間越しに見えたと思った空が実はその上の雪の壁で、その壁では久々に両手でピッケルを思いっきり打ち込んで体を引き上げる場面もあったが、下った時に思ったほどのしんどさはなく35分で壁を登りきって中山峠に14:45,見込みより30分早く着く。

 





 黒百合ヒュッテ着15:00,気温-9.5℃。朝よりも増えたテントを尻目にすぐに下山。その頃になって日が照り始め、林間がパッと明るくなる。
 16:30渋の湯着。本沢温泉から峠まで3時間05分,渋の湯までは5時間50分。

 





 ちょっと温泉へ・・,雪中往復12時間の日帰り入浴やよし!

 標高2100mの本沢温泉は本邦最高所温泉とある。昔は白馬鑓温泉が本邦最高所温泉と言われていたが最近はそう言われなくなったし地図にもそうは書いてない。
 2.5万図で見ると本沢は2110mの等高線の下,白馬槍はその上に書かれていて白馬鑓の方が高いように見える。ただ野天風呂は2150mと書いてあるので、それを以って最高所としているのかも知れない。
 ウイキペディアによると白馬鑓温泉は「以前は『日本最高所の温泉』を名乗っていた時期もあったが、立山のみくりが池温泉や八ヶ岳の本沢温泉などのほうが標高が高く、最近はそのような表示はしていない」とあった。
 どちらであろうと大したことではない。※みくりが池温泉は2410m


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