山≦生ビール?
2010年5月16日 福島県 安達太良山 記録者 はら坊
山登りには色々な色々なスタンスが有ると思う。
本格的に高山を行く人や、低山ハイキングの延長線の人、最近流行のトレイルランナー、どれも山を愛し、登頂を目的としていると思う。
装備も技術もそれぞれだと思う。
だが我々釣屋の登山とは、山は愛しているが、登頂を目的としない。
目的はあくまで釣りであり、沢であり、岩魚である。
そんな我々が、最近山にはまり込んで来ている。
山とは言っても、低山から日帰りで行ける山である。
今回そんな釣屋3人が安達太良山の山開きにトライしてきた。
この話が来たのは1月の半ば、そんな先の予定など分かるはずも無い面々であった。
待ち遠しい気持ちを抑え、仕事が入らないことを祈り続けてきた。
皆そうであった筈だ。
私はどうしても登りたかった。
行かなければならない山であった。
そうそれは、故斉藤信之さんの故郷であり、何しろこの山を愛し毎日眺めていたに違いない場所であったから、どうしても登りたかった。
先週の男体山から少々風邪気味で、毎晩風邪薬を腹いっぱいに成るほど飲むも喉の痛みが直らず、体はダルイまま決行日前日になってしまった。
決行日前日には急な仕事が入ってしまっていたが、それも半日で片付けて準備に入る。
はやる気持ちを抑えきれず、予定より早く副隊長と合流。
しみたかさんとの待ち合わせ場所に向う。
こちらも早めの合流をして、安達太良山登山口を目指す。
二本松インターチェンジを目前にしみたかさんの口から
『そう言えば、アサヒビールの工場で生ビールが飲めるアサヒビール園が
あるんだ。ジンギスカンが美味しいかったんだ。』
と何気に餌をまく、それに源流の岩魚のごとく食いついたのが、副隊長である。
『うぉぉぉ~~~何時から?いくら?登るの止めてそっちに行く?』
そんな中チャッカリ携帯で情報を入手している私であった・・・
そんな話で盛り上がっていると、あっと言う間に登山口に到着、準備を早々にしていざ出発。だがこの早目の出発が後々後悔の種になる。
我々は普段から子供を連れ出して遊んでいる為、時間に相当な余裕を持つようになってしまっている。
まぁ~そのうち子供達に
『年寄り連れてるから、時間に余裕を持って・・・』
何て言われてしまうんだろうが・・・
登り始めて直ぐに沢を渡る。橋の上から沢を覗き込み、
『魚居るかな?』
『居そうだよね・・・』
『竿は・・・?』
『有るけど・・・餌は無いよ・・・』
沢水を見るとやはり釣屋の血が騒いでしまう・・・
山屋にはなりきれて居ない山屋モドキであった。
登山道まで硫黄の香りが漂ってくる・・・
臭いの方が良いのかな・・・?
副隊長が
『あれっ・・・隊長の臭いがする。』
などと冗談を飛ばす。
これは隊長と登った事のある人でないと分からない事で・・・
香りがお届けできないのが残念です。
さほど高度も稼がずに硫黄の香り漂う中くろがね小屋に到着。
到着目前に宿泊客のお見送りの歓声が上がる。
ここでしばし休憩・・・
この大自然のスケールはやはり写真では伝えきれない・・・
ここから急登に入り一気に高度を稼ぐ。
空の青さと岩の黒、雪渓の白と火山灰の赤茶色、それとなんと言っても硫黄の香り・・・
そんな大自然、地球の息吹が伝わって来る中あっと言う間に山頂に立った。
安達太良山山頂の文字が刻まれた柱より高い所に三角点がある最高地点があり、まずはそこに立った。
そこから私は、
『斎藤さん見える?斎藤さんの故郷の山に立ったよ。』
心の中で叫んでは見たもののきっとこの強風にかき消されてしまったかな。
でもきっと斎藤さんは、
『何でそんな所に居るんだ、そこは山スキーに行くとこだぞ。八久和に来い。八久和で岩魚たちと遊ばなくちゃ。今年は来いよ。』
そんな事を言われた気がした。
山頂では開山祝いの為、徐々に沢山の人達が集まって来た。
自衛隊の姿までもがあった。
ここで雪渓を駆け上がってくる冷たい強風の中1時間以上待つ事になった。
今朝の早出を始めて後悔したが後の祭り。安達太良開山祭りってな事で、岩陰で身を潜め風をかわすも山頂の風はアッチコッチから吹き付けてきて余り意味が無いが、時間まで我慢我慢・・・
漸く目的の一つ記念品のペナントを入手する。
目的の二つ目副隊長の知り合いの方々と記念撮影をして、最大の目的であるアサヒビール園に頭を切替える。
さ~て下山だ~・・・
車に付くや否や今度は、
『温泉はどっちでもいいや・・・生・生・・・』
と言うまるでK上さんの様な副隊長を説得して温泉で汗を流し、生ビールへと向った一行であった。
しみたかさん運転ありがとう御座いました。
またお願いします。